ピンチには18番を

6年半ぶりくらいに復活させたブログの最初の投稿が、素敵な笑顔が輝くKhaledのPVになるとは思っていなかったけど。わはは。

Aicha。名曲です。アルジェリアの北島三郎(と私が勝手に思ってる)Khaledの大ヒット曲。アイシャっていう美しい女性にメロメロになってしまった人が、彼女の素晴らしさを称えに称えまくっている歌なのです。私の最近のカラオケ18番でもあります。これ歌ったら、フランス語圏の人は、国籍・世代関係なしに大体盛り上がってくれるからね。日本のカラオケでいうところの、永ちゃんとかピンクレディーみたいな感じかな。まぁそれはさておき、なんでこれを載せたかというと・・・。

私は今、近い将来に企画する旅行の事前調査をするためにアルジェリア行きを計画しておりまして。んでもって、この調査旅行には、スペインから超マイペースな友人もひょこひょことくっついてやって来る予定な訳なんですけど。

ビザ取得が・・・。嗚呼ビザが・・・・。面倒くさいのなんの。まぁ最初から分かってたことだけどもさ。そんな中起こったのが、まさかのアルジェリア領事さんの前でのカラオケ大会@バマコ。で、歌ったのは、もちろん18番のAicha。

事の発端はこんな感じ。

2週間くらいかけてプッシュした挙句、ようやくアルジェリア国内の知り合いから招待状が届く→招待状をアルジェリア大使館にもってくや否や、超ダンディーな領事さん「この招待状は法的に無効だ」という一言を優しく放たれる(想定内)→これまでにアフリカ35か国からビザを勝ち取ったことが数少ない誇りの一つである私、ビザ取得の難易度が高ければ高いほど燃える→何日も、色んな書類をもって大使館に通い詰める→その度に「だめなものはだめだ」の領事さんの一点張り攻撃を食らう→「もう今日ビザを申請しなかったら出発に間に合わない!」という日、仕事の後領事さんに会いに行く→

私:「アルジェリアには4年前に行ったけど、本当に素晴らしい国でした。文化も素晴らしいです。例えば音楽とか」

領:「ほほう。どんな音楽かな?」

私:「Aichaとか」

領:「おお。君、この歌を歌えるのかね?」(←もはや若手芸人に無茶な要求をつきつける黒柳徹子さん状態 笑)

私:「もちろんですとも。ダカールのカラオケ大会ではいつも歌っていましたから。」

・・・と、この流れでまさかのカラオケ開始(サビの部分だけだったけど)。その後、アルジェリア版の「ニッポン、チャチャチャ!」とも言える「1、2、3、Viva Algérie !!」コールをつけるというサービスまでつける。

歌を歌ったら、あら不思議。それまで私が提出した書類に「あれが足りない、これが足りない」ってイチャモンをつけていたダンディー領事さんが、「ああ、もう仕方がないなぁ。何とかビザを発行できるようにしてあげるよ。来週金曜日に戻っておいで」って言ってくれたという、ね。「そんなにアルジェリアが好きなら、今度アルジェリア人が集まるパーティーがあったら君にも声をかけるよ」「アルジェでは泊まる場所はあるのかい?僕の家族に部屋が空いているか聞いてみようか?」とまで言ってくれる始末。本当にありがとうございます。

思えば4年前、初めてアルジェリアに行ったときにも似たようなことがあった。その時は、当時住んでたダカールの大使館でビザを申請したんだけど、大使館の建物に入ったら、いきなり領事とサシでお茶を飲むことになって。で、そのときになぜか、話題がラマダンの話になり、

私:「ラマダンって、本当に美しい概念だと思うんです。貧しい人の気持ちになるとか、イスラームってなんて懐の深い教えなんでしょう。」

領:「そうだろう。ああ、そう思ってくれて嬉しいよ。」

私:「私は、その美しいラマダンを、あなたの美しい祖国で体験したいんです!」

領:「そうかいそうかい。マドモワゼル、アルジェリアへようこそ、マッシャーラー。」

みたいな感じで、ビザが取れてしまったという。後で色んな人(←とはいえ、アルジェリアとの関係がちょっと難しいアメリカ人やフランス人だったので、いい事例とは言えないけど)に聞いたら、「ビザ取得には3か月もかかったわ」「俺、ビザ申請却下されたよ」という返事が返ってきたので、ああ、私はラッキーなんだな&日本のパスポートはさすが強い!と改めて思ったわけです。

まぁ、こんなテキトーに物事が動いちゃ本当はいけないんだろうけど、でもそんなカタいことばかり言ってたら何も動かない国が世界のほとんどであるという事実を鑑みると、この地球でやっていく際に、ユーモアがいかに大切かっていうことがよーく分かります。今回はたまたまアルジェリアのビザだったけど、ユーモアがあれば、気難しい人とのコミュニケーションがとれちゃうし(←実証済)、ヘンテコリンな言いがかりをかわすこともできるし(←実証済)、値引きだって出来ちゃうし(←実証済)、思ってもいない機会が舞い込んできちゃうし(←実証済)、果てはナントカ族の首長の息子と結婚できちゃうかもしれないし(←未実証)。

そういえば、この前職場で受けたセキュリティー・トレーニングでも、軍人のビシバシ系講師に言われたわ。「もしも誘拐されたら、ユーモアを忘れるな!誘拐犯ともし仲良くなれそうなら仲良くなれ!!!」とな。マリで誘拐されたときのユーモアか・・・。ドリフのギャグは絶対に通じないだろうしなぁ。むむ、こればかりは普段から考えておかなくちゃ。

ただ、ユーモアはTPOをわきまえないと悲惨な結果につながるので(←既に何度も経験済み)、そこは文化的センシティビティをフル活用し、いつ、どのタイミングでどのようにネタを出すべきなのか、何がタブーなのか、をしっかり見極めないとね。そのためにも、毎日知識を高めることだけじゃなくて、感性をしっかり磨かないとなと強く思う訳です。道端のおばちゃんと話したり、音楽聞いたりしながら。

中高生や大学生に「海外で生き残るための秘訣は何ですか?(←海外で活躍するための秘訣、ではなく、生き残る/サバイブする、というのがミソ 笑)」とよく聞かれるのだけど、私は今までは「心身の健康です」と答えていた。でも、今回のカラオケビザ取得を契機に、「ユーモアです。ピンチの状況では歌を歌いましょう」と言うことにしよう。

・・・と、自分のビザが一件落着して安心していたところ、例のスペインのマイペースな友人から「来週月曜日にでも、ビザを申請しに行った方がいいよね。何が必要なのかな。るるるのるー」というこれまたマイペースかつ能天気なメッセージが。いや、1か月くらい前から何度も「明日大使館に行きなさいよ」「このビザは結構面倒くさいから、ちゃんと事前に準備しなさいよ」ってあんなに言っていたのに。やっぱり今まで何もアクションを起こしていなかったか・・・(←これももちろん想定内)。というわけで、「困ったら歌うのよ、歌!!」という返事を出しておきましたとさ。おそらく何のこっちゃ理解してもらえていないけど。これはAichaを歌うから意味があるのであり、マカレナとかケチャップ娘とかをこの友人が歌い出さないことを願ってやまない。

↓この動画↓は、4年前のアルジェリア旅行で出会ったムハマド君にる、「抱いてセニョリータ」の熱唱の様子。ムハマド君は、砂漠の中の小さな町に住んでいるのだけど、日本文化の大ファンで、毎日毎日アニメやドラマ、Jポップのビデオをyoutubeで見て過ごしているらしい。そのせいか、日本語が結構上手だし、沢尻エリカがアルジェリアと日本の血を引いていることを私に教えてくれたし、何といっても日本の歌と踊りがとても上手。こんなユーモアいっぱいのムハマド君のように、みなさんも歌いましょう♪

ちなみに、私とムハマド君は、共通の友人を通して知り合いました。こんな感じにね。

昔々、一人の大和撫子(←えw)が、ガルダイアという砂漠の中の宝石のような町に滞在していたそうな。その大和撫子は、ガルダイアに暮らす友人のオマール君の家にお世話になっていたそうな。ある日、オマール君は、200km離れた町に住んでいる親友のムハマド君に「日本人が今ウチにいるぜ」と電話をしたそうな。それを聞いたムハマド君は、生まれて初めて本物の日本人に会えるということで狂喜乱舞し、ラマダン中でとても疲れている&50度を超える暑さであったというのに、200kmを車ですっ飛ばしてガルダイアにいる大和撫子に会いに来たそうな。ガルダイアで自分の日本への愛を一通り語ったムハマド君は、「僕のお母さんや親戚のみんなは、日本人に会ったことがないんだ。是非、僕の町にも来てくれ」と言い、誘いにヒョイヒョイと乗った大和撫子を自分の車に乗せたそうな。大和撫子が車に乗ったその瞬間、ムハマド君は浜崎あゆみやら嵐などの歌をかけまくり、大和撫子を驚かせたばかりでなく、挙句の果てには自身の18番である「抱いてセニョリータ」を歌いながら踊る@砂漠のど真ん中、という偉業を成し遂げたそうな。めでたしめでたし。

これ見てる人で誰かジャニーズ事務所にコネがある方がいたら、是非山Pにムハマド君の存在を伝えてあげてください。

 

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